過敏性腸症候群の原因として、ストレスが大きく関係していると考えられていますが、
最近の研究では、ストレスは原因そのものというよりも、
症状を悪化させる因子であるということがわかってきました。
ですから、症状が軽い人であれば、食事療法が有効です。
過敏性腸症候群の人は、食事を摂ると起こる「ぜん動運動」が健康な人に比べて、とても激しいのです。
そのために下痢を引き起こす傾向にあります。
食事のリズムが乱れると、腸の運動や排便のリズムも乱れがちになります。
結果として下痢をしたり、便秘になることもあるのです。
食事の時間が不規則であったり、食事を抜くことがあったり、
夜の遅い時間に飲食をしている場合は、できるだけ1日三回の食事時間を一定にしてみましょう。
排便の最初のきっかけとなる胃・大腸反射は、通常は朝に最もメリハリよく起こります。
早起きをしてゆっくり朝食をとると、出かける前に便意が起こり、
お腹をスッキリさせて家を出ることができます。
朝、食事をすると通勤通学途中で便意が起こるのが怖いという人は、
無理に朝食を摂る必要はありませんが、たとえ強烈な便意はなくとも朝にトイレタイムを設けて、
できるだけ排便してから、外出するようにしましょう。
また、起きがけに食べることを避け、会社に行ってから、食事を摂るようにするのもいいでしょう。
症状の軽い人では、これだけで症状が落ち着くこともあります。
排便リズムを整えるには、夕食の時間帯も大切です。
夜の遅い時間帯に食事をすると、朝の食欲がわきにくくなります。
結果として、朝食を抜いたり、軽くすませたりします。
すると、胃・大腸反射が起こりにくくなって、通勤時間中に便意が起こるという
悪循環におちいってしまいます。
暴飲暴食は負担が大きい
暴飲暴食は胃腸への負担が大きく、腸の運動機能に影響を及ぼしたり、
腹痛などを引き起こす要因になります。
過敏性腸症候群の人は食事にも敏感になっていますから暴飲暴食はしていないと思うかもしれませんが、
朝食を抜くことで、結果として昼食あるいは夕食でまとめ食いをしている人もいます。
これでは腸の調子が乱れてしまいます。
下痢の症状が強い場合は、乳製品や繊維の多いものは避け、
便秘がひどい場合は食物繊維の多いものを摂るようにしましょう。