私が過敏性腸症候群を発症したのは高校生のときです。
だんだん受験勉強が忙しくなり、模試などを受ける機会が多くなりました。
そして、ある日模試を受けているときに、おなかが猛烈に痛くなり、
教室を退出し、トイレに駆け込むとすごい勢いで下痢をしてしまいました。
最初は「何か悪い物でも食べたのかな?」と思い、あまり気にしませんでしたが、
模試を受けると、下痢をして、途中退出しないといけないということが続きました。
模試を最後まで受けないと偏差値も出ないし、志望校への合格率も出ないので、
そのときやっと病院に行くことにしました。
病院は、いきつけの内科に行きました。
その内科の先生は、病名もとくに告げず「気が小っちゃいんだな。気にしなければいいんだ。」と言いました。
そして、薬も何もくれず、そのまま放置されました。
その後も緊張すると下痢をするということが続き、
「このままいくと私は入試を受けれず、大学に行けないかもしれない」と思いましたが、
当時は過敏性腸症候群という病名も一般的に知られておらず、
私はひたすら自分でこの病気を向き合うしかありませんでした。
緊張すると下痢をするということがわかってきたので、
模試を受けるときはあめをなめながら、少しでもリラックスして受けるようにしました。
それから、模試では一度退出すると、そのテストが終わるまでは、再度教室には戻れませんから、
とにかく早く問題を解くことに専念しました。
入試はうまくいき、大学にも入れましたが、それでも過敏性腸症候群は治りませんでした。
過敏性腸症候群が再度悪化したのは、入社したときです。
新しく環境が変わり、常に緊張していたんだと思います。
通勤中でも突然下痢が襲ってくるので、通勤途中の駅にあるトイレは全部覚えて、
いつでも降りれるようにしていました。
過敏性腸症候群が治ったのは、ある先生との出会いでした。
確かそのときは、夏バテか何かで内科を受診したのですが、
話の流れで昔から緊張すると下痢をしてしまうという話をしたところ、
その先生が初めて過敏性腸症候群について説明してくれました。
そして、「じゃあ、1週間だけトランキライザーを出すので飲んでみてね」とトランキランザーを処方してくれました。
私はやっと自分の病気がわかり、お薬も出してもらって心底安心しました。
そして、1週間トランキライザーを飲み続けた間は一度も下痢をしなかったのです。
私は次回先生に会ったときに
「先生、私、一度も下痢しませんでした。トランキライザーがすごくよく効きました。また処方してください」
とお願いしました。
そうすると先生は「よかった。でもだまして悪いんだけどね、
この間処方したのはトランキライザーではなくて、どこにでもある整腸剤だったのよ」
と教えてくれました。
そして「過敏性腸症候群は難しい病気だけど、信じれば治るから。
気持ちを楽にして、緊張しないで。間違ってもいいやって気持ちで取り組んでみて」と言われました。
その後もしばらく、過敏性腸症候群は続きましたが、
自分の中でも「1週間下痢しなかったんだから大丈夫」ということが自信になり、
また「すべてが完璧でなくてもいいや」と思えるようになり、
だんだん過敏性腸症候群は治まり、今は完治しました。
過敏性腸症候群は、本当につらい病気ですが、時間はかかるかもしれないけど、完治すると思います。