過敏性腸症候群の主な症状は下痢ですが、
なかには便秘になる人もいます。
便が硬くてつらい場合には、
下剤で便を軟らかくして出し、
それでもだめなら浣腸をするのが一般的に行なわれる対処法です。
便秘が軽く、原因となる病気がとくに見つからない場合や、
病気が進行することがないとわかっている場合などでは、
この方法でもよいのですが、
下剤の使い方には注意しなければなりません。
下剤には、機械性下剤と、刺激性下剤という2種類があります。
機械性下剤は、便を軟らかくする薬です。
刺激性下剤は腸を刺激して無理やり便を出すので腸が過敏になり、
腸が絞られるためかえって便が出にくくなり、
その結果ますます下剤の量を増やすといった悪循環にも陥ります。
1日何十錠も下剤を飲んでいれば、
それが原因で過敏性腸症候群になるケースもあります。
また、刺激性下剤は長期に連用すると、
メラニン色素が沈着して腸が真っ黒になり、
悪化すると腸を動かす神経まで変性させるといわれ、
ますます便秘の症状が酷くなります。
そのため、刺激性下剤は早めに中止し、
便を軟らかくする機械性下剤や腸の働きを良くする薬に変更するようにしましょう。
下剤を服用すると、普通、便が出やすくなると考える人がほとんどですが、
どんなに軟らかく、ひどい下痢であっても、
出にくいものは出にくいのです。
下痢便は身体にもよくありませんので、
早めに下剤を常用する習慣を止めなければなりません。
下剤はあくまでも症状を一時的に改善する薬です。
一度は病院に行って便秘の原因を調べてもらい、
器質的な病気が関わっていない場合は、
食生活や運動などを取り入れて治す工夫をして
解消していくことが大切です。
また、浣腸はそれ自体が刺激性で、
直腸に便が降りてきていなければ効果はなく、
腸を傷つける場合もあるので、なるべく使わないようにしましょう。