幼稚園や小学校に通っていた頃は、特に何も症状はありませんでした。
私は幼い頃はずっと関東地方に住んでいました。
そして、中学に進学すると同時に東北に引越しをしました。
関東と東北のあまりの気温の違いに、最初の10日間位、体調を崩してしまいました。
1990年代といえば、まだエアコンがリビングにしかない時代です。
ですので、毎朝のように下痢になるのは、夜を慣れない寒い自室で、
冬以外は暖房なしで過ごしているからだと、当時私は考えていました。
ただ、私以外の家族は、すぐに東北の気候に慣れていくのに対して、
私の毎朝お腹の調子が悪くなるのは、まったく治りませんでした。
学校でもしょっちゅう下痢になり、からかわれないように先生用のトイレを借りる事もありました。
昔は「過敏性腸症候群」という言葉はほとんど知られておらず、
私も家族も当然この病気の事を知りませんでした。
なので、私は単純に環境と体質のせいだと思っていました。
あの頃はまだ学生で、通学手段もバス。
しかもそのバスは、私が通っていた女子中学高校(一貫)が始発終点のバスだったので、
生徒や学校関係者以外の人はあまり乗りません。
そのため、緊張する事なく、楽しくおしゃべりしながら通学できたためか、
途中で下痢になる事はほとんどありませんでした。
高校何年生の時だったか、またお腹をこわし、いつものように先生用のトイレを借りるため、
保健室へ許可を取りに行き、トイレが済んでからまた保健室へ戻ると、
その頃新しく入ってきた保健室の先生が
「『過敏性腸症候群』とか、病院で言われた事ある?」と私に尋ねました。
「ううん」「病院行く機会があったら、尋ねてみるといいよ」「うん、ありがと」
これが「過敏性腸症候群」という言葉を初めて聞いた日でした。
家に帰って母にこの事を告げましたが、今のようにインターネットのない時代ですので、
この病気について調べる事も出来ず、
ふんわりと「私は過敏なんとかっていう症状かもしれない」と思うだけで終わり、
そして日々は過ぎて私は高校を卒業をしました。
親元を離れ、東京の大学に入り、私は生まれて初めて電車通学をするようになりました。
使う駅は、池袋と渋谷というどちらも大きな駅。
通学路は勝手を知らない賑やかな土地。
東京は関東なのにも関わらず、私の症状は悪化せずとも変わりませんでしたので、
この症状が今度の新しい生活に響いてくるようになりました。
1年の夏休みに実家に戻り、親に相談し、病院で診てもらいました。
「過敏性腸症候群」だろうと言われました。
私は休学し実家に戻り、大きな病院に入院し、断食療法を受けました。
だいぶ昔の事なので、はっきりしませんが、1週間から10日間くらいのもので、短く、
特に薬を飲まされる事もありませんでした。
あれから、20年程経ちました。
断食によって完治をしたなんて事にはなりませんでした。
他の人はどうか分かりませんが、私の場合は、10代の時の苦しみが半減されたくらいです。
でも、あの苦しみをお知りの方には、「半減」がどれだけ大きい事か分かると思います。